トイレの中に、スマートフォンがポチャンと音を立てて落ちていく。その瞬間、頭が真っ白になり、パニックに陥ってしまうのも無理はありません。しかし、この緊急事態において、あなたの最初の行動が、スマートフォンの運命と、トイレの運命、そして最終的な修理費用を大きく左右します。焦りから取ってしまいがちな間違った行動は、状況を回復不可能なレベルまで悪化させる危険性をはらんでいます。まず、絶対にやってはいけない最悪の行動が、「慌てて水を流す」ことです。「汚いから、一度きれいにしよう」という無意識の行動かもしれませんが、これはスマートフォンを排水管の奥深く、二度と手の届かない場所へと送り込んでしまう自殺行為に等しいです。一度排水管の奥へ流れてしまえば、回収はほぼ不可能となり、もし詰まりでも発生すれば、床を剥がして配管を切断するような、数十万円規模の大規模な工事が必要になる可能性すらあります。次に、便器の中に見えているからといって、「針金ハンガーや棒などで無理やり取ろうとする」のも厳禁です。硬いもので便器の内部を突くと、陶器製の便器に傷がつき、そこから汚れが固着しやすくなるだけでなく、最悪の場合は便器にひびが入ることもあります。また、うまく掴めずにスマートフォンをさらに奥へと押し込んでしまうリスクも非常に高いです。同様の理由で、「ラバーカップ(スッポン)を使う」のも絶対にやめてください。詰まりを解消するための道具は、固形物をさらに奥へと押し込むための道具にもなり得ます。そして、無事に救出できた後にもNG行動は潜んでいます。濡れたスマートフォンを「すぐに電源を入れたり、充電器に接続したりする」のは、内部の基板をショートさせ、完全に破壊する行為です。また、「ドライヤーの熱風で乾かす」「本体を激しく振る」といった行動も、熱で精密な部品を変形させたり、水分を内部の隅々まで行き渡らせてしまったりするため、逆効果です。まずは深呼吸をして落ち着き、これから説明する正しい手順を踏むこと。それが、被害を最小限に食い止めるための唯一の方法です。