水道の元栓の場所を、無事に見つけ出すことができたら、次のステップは、その正しい「閉め方」と「開け方」をマスターすることです。いざという時に、焦って間違った操作をして、元栓を破損させてしまっては、元も子もありません。操作方法は、元栓の種類によって少し異なりますが、基本は非常にシンプルです。落ち着いて、そしてゆっくりと操作することを、心がけてください。水道の元栓には、主に「ハンドル式」と「バルブ式(レバー式)」の二つのタイプがあります。まず、戸建て住宅のメーターボックス内でよく見かける、円形のハンドルが付いた「ハンドル式」の場合です。これは、蛇口と同じ要領で、時計回りに回すことで閉まり、反時計回りに回すことで開きます。「閉める時は、時計回り」と覚えておきましょう。閉める際は、ハンドルが固くて回りにくいことがありますが、力任せに回してはいけません。無理に力を加えると、内部のパッキンや弁を損傷させてしまう可能性があります。もし固い場合は、タオルなどを当てて、ゆっくりと、しかし確実に力を加えて回してください。完全に閉まると、ハンドルはそれ以上回らなくなります。水が止まったかどうかは、家の中の蛇口をひねってみるか、あるいは、メーターのパイロット(銀色の円盤)が回転していないかを確認することで、判断できます。次に、マンションのパイプシャフト内などでよく見かける「バルブ式(レバー式)」の場合です。こちらは、操作がさらに簡単です。レバーが、水道管と「平行」の状態が「開」、水道管と「直角」の状態が「閉」です。閉める時は、レバーを九十度、カチッと音がするまで回すだけです。どちらのタイプの場合でも、再び元栓を開ける際は、閉める時とは逆の操作を、やはり「ゆっくりと」行うことが非常に重要です。特に、長期間閉めていた後に開ける場合は、一気に全開にすると、水道管の内部に急激な水圧がかかり(ウォーターハンマー現象)、配管の破損や、蛇口の故障を引き起こす可能性があります。最初は少しだけ開けて、ゆっくりと水を通し、数秒待ってから、全開にするようにしてください。この「ゆっくり操作」の原則を守ることが、家の水道設備を、長く安全に使うための、大切な秘訣なのです。