蛇口への水の供給をコントロールする重要な役割を持つ止水栓ですが、これも他の水回り設備と同様に、経年劣化する消耗品です。長年使用していると、様々な不具合が生じ、交換が必要になる場合があります。では、どのような状態になったら交換を検討すべきなのでしょうか。劣化のサインと交換の判断基準について見ていきましょう。最も分かりやすい劣化のサインは、「止水栓本体からの水漏れ」です。ハンドルやドライバー溝の根元、あるいは配管との接続部分などから水が滲んでいたり、ポタポタと漏れていたりする場合は、内部のパッキンや部品が劣化・摩耗している可能性が高いです。パッキン交換で直る場合もありますが、止水栓本体に亀裂が入っているなど、部品交換では対応できないケースもあります。次に、「ハンドルやドライバー溝が固くて回らない、または空回りする」という症状です。前述の通り、固くて回らない場合は内部の固着が考えられますが、逆に力を入れても手応えがなく空回りしてしまう場合は、内部のネジ山が潰れていたり、スピンドルと呼ばれる部品が破損していたりする可能性があります。この状態では、水の開閉が正常に行えず、止水栓としての役割を果たせません。また、「水を完全に止めても、蛇口から水がポタポタと漏れ続ける」場合も、止水栓内部のコマやパッキンが劣化・摩耗し、完全に水を遮断できなくなっている可能性があります。蛇口側のパッキン(ケレップやバルブカートリッジ)の劣化も考えられますが、止水栓を閉めても水が止まらないのであれば、止水栓側の不具合が疑われます。さらに、「止水栓の見た目に明らかな腐食やサビが見られる」場合も注意が必要です。特に金属製の止水栓は、長年の使用で腐食が進むと、強度が低下し、操作時に破損するリスクが高まります。これらの劣化サインが見られた場合、基本的には止水栓の交換を検討する時期と言えます。止水栓の交換作業は、家全体の元栓を閉めて行う必要があり、配管の知識や専用工具も必要となるため、DIYでの作業は難易度が高いと言えます。水漏れなどのリスクも伴うため、無理せず専門の水道業者に依頼するのが最も安全で確実な方法です。劣化のサインを見逃さず、適切なタイミングで交換を行うことが、水回りの大きなトラブルを未然に防ぐことに繋がります。