築年数の古い家にお住まいの方で、トイレの水の流れが年々弱くなってきたと感じている方はいませんか。古いトイレの場合、新しいトイレとは異なる原因で水圧(流れの勢い)が低下している可能性があります。まず考えられるのが、トイレタンク内部品の経年劣化です。ボールタップやフロートバルブ、それらを繋ぐ鎖やレバーなどは、長年の使用によって摩耗したり、硬化したり、錆び付いたりします。特にゴム製のフロートバルブは劣化しやすく、密閉性が失われてタンクに水が溜まりにくくなったり、便器へ水が漏れ続けたりする原因となります。ボールタップも、内部のパッキンや弁が劣化すると、正常に給水や止水ができなくなり、タンクの水位が不安定になります。これらの部品が劣化している場合は、部品交換が必要です。メーカーによっては古い機種の部品供給が終了している場合もあるため、その場合は代替品を探すか、トイレ自体の交換を検討する必要が出てきます。次に、便器自体の汚れの蓄積も、古いトイレでは顕著に見られることがあります。便器のフチ裏にある水の出口(リム穴)や、便器底部の水の噴出口(ゼット穴)に、長年の使用で水垢や尿石が固着し、水の通り道を狭めてしまうのです。これにより、タンクから十分な水が供給されていても、便器から出る水の勢いが著しく低下します。この場合は、酸性のトイレ用洗剤や専用の尿石除去剤、細いブラシや針金などを使って、根気よく汚れを除去する必要があります。ただし、便器を傷つけないように注意が必要です。また、見落としがちなのが、家全体の給水管の老朽化です。特に築数十年を経過した家では、給水管(特に鉄管など)の内部にサビや水垢が蓄積し、管の内径が狭くなっている可能性があります。これにより、家全体の水圧が低下し、トイレを含む全ての水回りの水の出が悪くなることがあります。この場合は、個別のトイレの対処だけでは解決せず、給水管の洗浄や交換といった大掛かりな工事が必要になることもあります。古いトイレの水圧が弱いと感じたら、まずはタンク内部品の劣化や便器の汚れを疑い、対処してみましょう。それでも改善しない場合や、家全体の水圧が低いと感じる場合は、給水管の老朽化も視野に入れ、専門の水道業者に相談することをお勧めします。
古いトイレの水圧が弱い考えられる原因と解決策